K1rico’s blog

写真とか音楽とか

理想の音・映像は遠く

先日、撮影協力をさせていただいているあやのさんのMVを公開しました。

 


“昨日の君に花束を”

 

撮影や編集も楽しくできたのでぜひ見ていただけましたら嬉しいです。

 

ライトなどの補助光を使わず窓からの自然光のみで撮影しているので、柔らかい自然な印象の映像になるように意識してみました。

あとは自然光と相性の良い、光を透過するガラス系の小物で構図をとっています。

 

奥のワイン瓶に挿した花の赤と、手前のグラスの赤が構図的に対象の位置で締まるようにとか。

 

本当は歌詞にひまわりが出てくるのでひまわりを置きたかったんですが、売ってなかったので、そこは少し残念でしたが、ありものを使って楽しくできたのでよかった。

 

 

さて、今回はこれまでとは少し毛色の違う部分があります。

 

まず映像面、これまではフルHDで撮影をし編集していたのですが、今回は4Kで撮影し編集しています。

同じフルHDに最終的に落としたとしても、フルHDで撮影するより4Kで撮影する方がかなり綺麗になるなという印象でした。

 

陰影や色味のダイナミックレンジもだいぶ4K撮影をした方が広いので、白飛びや黒つぶれも抑えられる印象。

 

僕はSonyのα6600というカメラで撮影しているんですが、これまでS-Log2というプロファイルで撮影していたものをS-log3というプロファイルに変更しました。

 

Log撮影については今度細かく書く(かもしれない)として、元の色味に近いカラーグレーディングにはこちらの方が有利かなーという風に感じます。

 

S-log2の場合はかなり原色より薄く撮って後で補正する形になるので、世界観を作り込むような演出をする時には良いのですが、今回はもっとラフな形を出したかったのでS-Log3を選択。

 

4KとS-Log3の相性はかなり直感的に良くて、色味編集は写真を扱うのに近い感覚でできます。

 

ひとつ失敗、というほどでも無いのですが、S-Log2だと感度を2段くらい明るめに撮らないと暗い部分が黒つぶれしてしまうため、S-Log3でも安全を見て同じような感度設定で撮ったのですが、S-Log3ではそこまでの感度は必要無いみたい。

 

このへんはもう少し実験をして追い込みたいポイント。

 

 

続いて音について。

 

音は今回初めてダイナミックマイクを使用してみました。

 

いつもはコンデンサマイクなんですが、ダイナミックマイクは...結構難しいなという印象。

 

ライブとかで使うならコンデンサより全然扱いやすいんですが、直接ライン録音すると、振動する空気が無いぶんイメージが掴みにくいですね。

 

コンデンサマイクだと空気感が収録されてくれるので、そのイメージを崩さないように補正をかけていくんですが、ダイナミックマイクだとかなりドライなので空気感の演出が非常に難しい。

 

今持ってるリバーブソフトがかなりしょぼいのもあります。

普通にかけるだけではどんなかけ方をしても不自然な響きになってしまうので、いくつか別の設定のリバーブやディレイを組み合わせてなんとか自然に聞こえるように補正しているのですが、ダイナミックマイクにそれをするとどうしても不自然さが残りますね。

 

本当はもっと暖かい感じを残したかったのです。アナログ感っていうのかな。

ちゃんとしたリバーブソフトが欲しい。

 

職業じゃ無くて趣味でやってる弱みがそこで、足りないものはありすぎるんだけど、改善にはお金がかかる、でも絶対に元が取れないから購入に躊躇してしまう。

 

撮影も月1も無いので、そのためにいくら使えるのか、というところですね。

もっと何回も撮影できて、という環境であれば使用頻度が上がるので間違いなく買ってると思う。そんな風にやりたいのだけれど。

 

もうひとつの失敗は、結構マイク収録に「吹かれ」が入ってしまって、それを気にならなくなるまで低音を抑えると、少しボーカルが軽くなってしまったこと。

 

マイクは口からの距離が離れすぎると低域が減ってしまうので、なるべく近づけてもらったのが原因。

 

マイクの風防の能力はかなりマイクごとに違うので、初めて使うマイクの場合もう少し実験してから使うべきだったなと。静かなレコーディングスタジオの環境では無い住宅街での撮影だったため、環境音にビビリすぎました。

 

後から編集したら環境音全然入ってなかった。さすがハンドマイクだなと思ったのですが、その利点をもっと生かしてアバウトに録れる設定にすればよかった。

 

こういうのも、ライブの現場できちんと音をアンプから出してモニターできると気付けるんだけど、今の環境だと後から気づく形になってしまうんですよね。

 

マイクはかなり自分の中で現状理想が見つかっていないポイントのひとつです。

 

本当はコンデンサマイクを口に近づけてレコーディングのように収録するのが一番良いのだけど、映像も一緒に撮る都合、大きなショックマウントと風防がついたマイクを立ててしまうと映像的に綺麗じゃなくなる、というのが大きいです。

 

サイズは今回のようなハンドマイクくらいがちょうど良い。

だけどもっと空気感は拾いたい。「吹かれ」も無くしたい。

環境音とか吹かれとかを無くすと編集の自由度が上がる。

 

マイクは良いの無いかなーってずっと探しています。

 

AstonというメーカーのSpiritという製品が、ショックマウントも風防も内蔵でマイクスタンドへ直接立てられるのでかなり良さそうだなと思っています。

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/227202/

 

中田ヤスタカさんが色んな人に勧めまくっているらしく、動画界隈でにわかに使用率が上がっているメーカー。

 

youtubeで試聴したところ結構理想に近いマイクなんじゃ無いかと思っています。

 

これも撮影頻度が高く無いので、買うとしてももう少し先かな。

せめて月1くらい使うのであれば買う。

自分でDTMすれば?っていう事ではあるんですけど、あんまり自分自身に興味が無くて。

 

今でも十分じゃ無いの?趣味ならそこそこで良いんじゃ無いの?っていう考えもあると思うんですけど、そこそこで良いと思ってるならそもそもこんなに拘ってないというか、スマホで良いじゃん、と思うのです。

 

それじゃ自分の納得する表現にならないから拘る。

youtubeに動画投稿をしてる人たちやライブハウスは一杯ありますけど、そのどれも自分が理想とする映像や音ではないので、自分の表現としてそれを追い求めたいから色んな勉強をしてる。

 

多分理想をそのままやってるようなところがあるなら、自分ではやってないと思う。

 

今はまだ、理想の音や映像からは遠いんですね。

 

「これだ」って自分が納得できるものが作れるまでは続けると思います。

そこまでなんとか行きたいんです。

 

今は道半ば、2〜3割くらいのところです。

映像も録音も編集も、次はもっと向上できる。

 

一応僕が毎日youtubeで探している、素晴らしいなと思う演奏動画をいくつか紹介します。


Forever Young | Alphaville | funk cover ft. Madison Cunningham!


Madison Cunningham - "L.A. (Looking Alive)" - Warehouse Session


Madison Cunningham - Life's What You Make It (Talk Talk Cover)


Madison Cunningham - All At Once (Solo Version)

 

Madison Cunninghamのチームは本当に天才だと思う。

こんなに音楽的な映像や音を作れるって信じられない。機材は良いものを使ってるけどかなりシンプルで、それを技術と工夫で素晴らしいものにしてる。

 

映像も素晴らしいし、構図も素晴らしいし、音なんか、「コレだよ!」って感じ。

何個かずつでも分解してコピーして自分のものにしたい。

 

他には


Valerie by Amy Winehouse - funk version


Gravity | John Mayer | funk cover ft. Shoshana Bean


Hit the Road Jack - Ray Charles - FUNK cover feat. Loren Smith!!

Scary Pocketsのチームも素晴らしい。

シンプルな機材で工夫して面白くて美しい映像にしてる。

 

こういうシネマっぽい色味、白人黒人だとすごく映えますよね。ブルーっぽい感じ。

黄色人種だと顔色が悪く見えてしまうので注意が必要なんですが、ハマるとめっちゃかっこいい。

 


Raelee Nikole - Slow | Pickup Live Session

 

Pickup Musicのチームもシネマライクでかっこいい。

 

このへんに近い事をやろうとするとさすがに一人で行うのは無理なので、何人かで協力してやれたら面白いなーなんて思ったり。

 

それでも自分自身でもまだまだ面白い事はできると思うので、色々試しながら勉強していこうと思っています。

 

多分仕事じゃ無いとか、スタジオが無いとか、ライブハウスを持っていないとか、そういう色んな制限があるから工夫をして面白いものを作ろうっていうモチベーションが出てくる。

 

もし僕が元バイト先のRAGくらいお金や場所をかけられるとしたら、「そこそこ」でそれなりなものが作れてしまうのでそこまで勉強しないかも。

 

僕が面白くなれるとしたら、「え?それをそんな風に使うの?」みたいな工夫や努力の部分だと思う。

 

どこを目指してるの?

自分の納得するものを。

 

それはまだまだ遠くて、だから楽しい。

 

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イラストとかアー写的なやつも面白いものが作れるようになっていきたいですね。

コレは後ろに貼ってある絵(CDジャケットになってるやつ)をミニマル的な4色にして前に持ってきて、本当はごちゃごちゃにしている色味やものをモノクロにして面白さを出そうとしてみた、というアプローチ。

 

なんとなくできるようなセンスは無いので、全部言語化して面白さを捕まえにいくのが僕のスタイルです。