世界一クソな音楽を楽しむ
まずはこちらを聴いて欲しい。
The Shaggs - "Philosophy of the World" (Andrew Thoreen and Ian Meltzer cover)
この動画の音楽を聴いて、「!?」となった人は洋楽上級者です。
なんや普通にカッコいい曲じゃないか?と思ってしまった人は、この曲が「世界一クソな音楽」のカバーであることを知ると世界がひっくり返るかもしれません。
原曲はThe Shaggsというバンドの"Philosophy of the World" (1969 年)という曲。
そしてこの曲は英語版Wikipediaで「世界一クソな音楽」として紹介されているものなのです。
日本語版のWikiでも世界最悪のロックンロールバンドとして紹介されています。
このバンドの何が世界最悪だったかというと、時はビートルズやジミ・ヘンドリックス、クリーム、サイモンアンドガーファンクル、カーペンターズ等が宝石のような楽曲を生み出していた1968年。
ジャクソン5などのファミリーグループに影響されたある父親が、何にも音楽経験のない自分の三姉妹に楽器を買い与え、お前らもスターになるんだと、短期間の練習の後そのままレコーディング&発売をしてしまった、という伝説のアルバムなのです。
(当時からそこそこ売れたのが謎。)
まだガレージロックやパンクなどの登場は10年以上待たなくては行けないこの時代に誕生したこのバンドは、歌唱力や楽器の腕前、作曲能力が皆無の状態で録音され、「世界一クソな音楽」と呼ばれるようになりました。
そんなこのアルバムが脚光を浴びるようになったのは、当時の「軟派な」音楽シーンに嫌気がさしていたニルヴァーナのカートコバーンが、自分のフェイバリットアルバムとしてこのバンドの1stアルバムをとりあげたことがきっかけでした。
フランクザッパなども「ビートルズよりも重要である」などとしてこのアルバムをこぞって取り上げたため、なんだその音楽は?として、パンクやガレージロック、アウトサイダー達の中で俄然知られるところになりました。
実際原曲を聴いてみると、テンポはめちゃくちゃ、楽器は下手、そもそも曲として成り立ってない、歌唱力もほぼ皆無ながら何故かカッコいい気がしてくるという不思議な中毒性のあるアルバムとなっています。星野源も「1ミリ演奏が何一つ合ってないがかっこいい。一時期、聴いていた。」と自身のラジオで語っていたらしいです。知らないですけど。
まぁそんな「世界一クソな音楽」なのですが、海外では凄腕ミュージシャン達が洒落で沢山カバーしてたりします。
元々めちゃくちゃな、合ってるテンポもクソもない演奏なのですがそれを完コピしたり、美しい部分を探し当てて素晴らしいアレンジにしたり、それぞれのユーモアでこの「世界一クソな音楽」を楽しんでいます。
原曲はこちら
The Shaggs ~ Philosophy of the World (full album 1969)
うーん。なんだかカッコいい気がしてきたぞ。
何が言いたかったかというと、音楽なんて面白みを見つけて楽しんだもの勝ちだよね。ということ。
それではー。